味覚障害と食事の工夫 基本情報とレシピページのまとめ
抗がん剤の副作用で食べ物の味が変わってしまう「味覚障害」があります。ここでは、抗がん剤の副作用で感じ方が変わってしまう味覚障害について、対処方法の基本と、具体的なレシピをまとめています。ここは随時更新しています。
1 味覚障害はいつまで続くの?
抗がん剤の治療が終わると徐々に治っていきます。期間は人によりますが、抗がん剤の治療が終わり3〜4週間で回復する場合が多く、2〜3ヶ月かかる方もいます。口の中の元々の状態や、唾液分泌の程度、抗がん剤の種類により影響の出方は違うようです。
2 味の変化には特徴がある
味覚障害といっても人それぞれで、塩味やうま味が感じにくい、甘みや苦味が強く感じるなどの症状があります。酸味はあまり変化しない方が多いです。
みなさんの表現を聞いていると、主に3つの感じ方にわけられます。
- 何も食べてないのにまずい、苦い味、金属の味、渋い味がする
- 味がわからない、砂を噛んでいる感じ
- 味が濃く感じて、何でも甘い、何でも塩辛い
①何も食べてないのに、口の中がまずい
口の中がまずいときは、うがいやアメを舐めて味覚に刺激をしてみましょう。アメのカロリーや虫歯が気になる方は、ノンカロリーや虫歯になりにくいアメを試してみてはいかがでしょうか。これらのアメは、病院の売店やドラッグストアなどで販売されています。うがいは、水道水でOKです。イソジン®など特別なうがい薬は余計に味覚を刺激する場合があります。
②味を感じにくい、薄く感じる
料理の味付けをはっきりさせます。塩や砂糖を多く入れて味を濃くすることもそうですが、スパイスやうま味も味をはっきりさせてくれます。料理の温度度を人肌程度(ぬるめ)にしてみる方法もあります。
- 味をはっきりさせる工夫
-
◎ だしをきかせる
塩分を増やさずに、味をはっきりさせる工夫をしましょう。削り節を煮出した後、しばらくおいて冷ますことで、だしがよく出ます。また、シチューにバターなどの乳製品を加えたり、煮物にみりんや酒を加えたりすることで味にコクが出ます。
◎ ごま、ゆずなどの香りや、酢を利用する
酢の物にレモン、かぼす、ゆずなどを添えると酸味がよく利くようになります。焼き魚は、塩や酒で臭みを抜いて、味付けなしで焼き、レモンやかぼす等を添え、酸味を利用しましょう。また、アジを素焼きにして、レモンなどをしぼって食べてみましょう。しょう油をかける時は、なるべく少量にするよう心がけます。また、片栗粉をまぶして揚げてから酢じょうゆにつけ、南蛮風にしてみるのもよいでしょう。
◎ 食材のうまみをいかす
食材を増やすことで、具のうまみがたくさん出て味がはっきりします。
汁物を作る時は、みそやしょう油の量は普段通りで増やさずに、具をたくさんにする、具の種類を増やすなど工夫します。また、うま味を利用して、味を薄めにして、だしを濃くしてみましょう。◎ 味にアクセントをつける
味の変化が少し分かる場合には、味に変化をつけたりアクセントになるものを添えたりすることが効果的です。
からしあえ、ごまあえ、梅肉あえ、しょうが焼き、セロリやクレソンのサラダ、カレー風味など、多少の香辛料や香味野菜を用いて味に変化をつけるとよいでしょう。また、漬物などを味のアクセントにそえることも効果的です。◎ 少し低温の料理にする
できたての温かいものを食べるよりも、少し冷めた程度の料理を食べる方がおいしく感じることがあります。
肉じゃがやシチュー、茶わん蒸しなどは、冷ましてから食べてみましょう。https://www.scchr.jp/cancerqa/jyogen_4101982.html
③味が濃く感じる
甘さを強く感じる、全体に濃い味に感じる(塩辛い)、本来感じない苦みを感じる、こんな場合は症状に合わせた工夫をご紹介します。
- 全体的に味が濃い
- ◎ 強く感じる味の調味料や素材は使わずに、他の味付けをメインにして工夫する。
◎ 状態に合わせて、薄味かだしのみの調理にしてみる。
◎ 化学調味料(だし)を使用せず、天然のだしを利用する。
◎ 食べるときに味付けできるようにしてみる。
- 特に、甘さを強く感じる
-
原則は、甘く感じるものを使わない、使うなら使用量を控えます。
◎ 砂糖やみりんを料理には使用しないようにする。
◎ 塩、しょう油、みそなどを濃いめにしてみる。
◎ ゆずやレモン、酢などの酸味を利用してみる。
◎ 特定の味(苦味・甘味・塩味など)を強く感じる場合は、だし煮やスープ煮のような調理法を取り入れてみる。
◎ 食品そのものが障害となる味のあるもの(例えば、ハムやソーセージなど)で、苦味を強く感じたり、干物などの塩味を強く感じたりする時は、障害となる味のあるものは控える。あるいは、甘みを強く感じるときは、干し柿やジャムのようなものは控える。
- 本来ない苦味を感じる
- ◎ 肉類の味に変化が起きて食べられなくなった場合には、別の食品でたんぱく質をとる。
例)チーズ、ヨーグルト、牛乳、アイスクリーム、ピーナッツバターなど
◎ 肉や魚は、あく抜きや臭み抜きをする。
◎スプーンなどの金属の味が気になるときは、食器を金属から木製・プラスチック製に変えてみる苦味、薬のような味、金属のような味など、本来と違う味を感じたり、嫌悪感を覚えたりする食品や調味料は控えましょう。
◎ 塩味を控えめにする。
◎ だしを利かせたり、ごまやゆずなどの香り、酢を利用したりしてみる。
◎ 化学調味料の味が気になることがあるので、控えめにする。https://www.scchr.jp/cancerqa/jyogen_4101982.html
3 レシピサイト
オンライン上には、様々なレシピサイトがあります。実際に読んでみて、使いやすいものをいくつか紹介します。
医療機関が作ったレシピ集
京都市立病院 がん患者山さんと家族のための食事のヒント
病院の栄養士さんが作ったレシピ集です。味付けの工夫の他、放射線療法や食欲が無いときの対策もかかれています。
一般の団体などが作ったレシピ
管理栄養士が作った、がん治療の患者さん向けの日常レシピ集です。家庭にあるものを使ったレシピで、日々使いやすいメニューが多いのが特徴です。
[blogcard url=https://kama-aid.com/]
4 コツをつかめば、工夫がしやすくなります
栄養のことは、院内にいる管理栄養士さんに相談することができます。味付けや調理方法の工夫は、味覚の感じ方によって異なります。食事量が少なくなってきた時に上手にタンパク質をとる方法や、栄養を補ってくれる補食ゼリーなどの情報も教えてもらえます。味が変、ご飯が食べにくい、食欲がない、そんなときには管理栄養士さんに相談してみてください。
参考資料
患者さんのための乳がん診療ガイドライン 読み方と使い方のコツ
専門家に聞いてみたいことを教えて下さい。
Speakでは、みなさんからの記事リクエストを募集しています。
下のリンクから質問をどうぞ。
https://forms.gle/EKmxsiX1wxatWTK58