抗がん剤使用中のスキンケアについて、根拠のある基本をまとめました。何を選んだら良いのか参考にしてください。読むのにかかる時間約5分です。

1 抗がん剤で肌がカサカサすることがあります。

抗がん剤を使うと、肌がカサカサしたり敏感になることがあります。スキンケアには洗う、保湿する、守る、の3つのポイントがあります。

2 特別なものは原則必要なし

特に指示や発疹などがなければ、まずは今まで使用していたクリームや日焼け止めを使ってください。ただ、スクラブ入りやナイロンブラシなどは肌を傷つけることがあるのでおすすめできません。

3 表示は参考程度に

無添加や敏感肌用の表示には、明確な定義はなく、特殊なスキンケア方法にこだわる必要はありません。

抗がん剤使用中の患者さんの肌pHのエビデンスはなく、弱酸性に特にこだわる医学的な根拠はありません。ただ、弱酸性の製品は洗浄力が弱いので、肌への刺激は少ない商品を選ぶ基準になります。

好きな匂い、好きな使い心地、お家にあるもの、自分が心地よいものを選んでください。大事なことは、優しく洗い、保湿することです。普段から使っているものは使い心地がわかっているので、まずはそれを使って下さい。。痒みや皮疹(ポツポツ)ができたら、お薬の出番です。その時はすぐに病院に相談してくださいね。

4 おすすめ方法のまとめ

がん患者に対するアピアランスケアの手引2016版から、「おすすめ」と「否定されない(悪くはない)」のスキンケア方法をまとめました。スキンケア用品を選ぶ時に参考にしてください。目の細かい柔らかいタオルは、手ぬぐいやガーゼのタオルが使いやすくておすすめです。

  1. 弱酸性の洗浄料を使う
  2. 洗う前に身体を濡らした後、軽く泡立てた洗浄料で洗う
  3. 目の細かい柔らかいタオルを使い、十分すすぐ
  4. 入浴剤には保湿タイプを使う
  5. 無添加、敏感肌用を使う
ポイントは、肌に負担をかけないように丁寧に洗うこと、しっかりとすすぐこと。洗った後は保湿剤をつけましょう。ベタベタしない程度に量は調節してくださいね。

5 洗う、保湿もほどほどに。

研究によると、洗浄と保湿を行うことで乾燥が改善したというレポートがある一方で、がん患者さん866人に行ったアンケート調査では念入りに保湿をした人たちのほうが皮疹・傷み・かゆみが出た、ということです

適度にあらって、適度に保湿して。普段と同じくらいの気持で、少し乾燥が気になったら保湿をプラスしてみてはどうでしょうか。
心配で事前に特別なものを購入したくなりますが、買ったけれど使わなかったというお話をよく聞きます。ですので、自分の肌の様子を見ながら、必要そうなら買い足してみてはいかがでしょうか。

6 一人で不安にならないで

がん治療が始まると、初めてことがたくさんやってきます。それは、多くの人が感じる不安で、当然のことです。どうぞ一人で不安にならないで、遠慮なく近くの医療者にご相談ください。医療チームはいつでもあなたの味方です。

参考情報

公益財団法人日本医療機能評価機構 Mindsガイドラインライブラリ
化学療法による皮膚乾燥に対して、安全な日常的スキンケア方法は何か
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0245/G0000895/0044

がん患者に対するアピアランスケアの手引き2016年版
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2016/0727/index.html

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