がんと診断された患者さんたちとお話をしていると、検診をうけて、健康的な生活をしていたのに、なぜ私が!?というやるせない気持ちと怒りの言葉をお聞きすることがあります。検診をうけていたのに、どうしてがんは進行したのでしょうか。だから受けても無駄ということでしょうか。いえいえ、そんなことはありません。残念ながらがん検診は万能ではありませんが、検診には目的と効果があります。検診の目的と効果について、乳がんを事例に解説します。

がん検診の早期発見・早期治療の言葉に、がん患者さんは少々傷ついている。

まず、大前提として、「がん検診が万能ではない」ということを知って下さい。いまベストと考えられる方法と費用で行われているがん検診は、全体で見るとがんの早期発見に役立っています。ただ、すべての人のがんが発見できるものではなく、がん検診を受けて注意していた人でも、発見のタイミングが遅くなることがあります。

つまり、大きくなって発見されたがん患者さん=がん検診を受けていなかった、気をつけていなかった、ということではありません。

乳がん検診は、小さいがんを早期に見つける可能性が上がります。

実際に、乳がんを発見したきっかけについての調査があります。九州大学病院のがん検診についてのページに、同病院での乳がん発見経路についての解説があります。

この表を見ると、0,1,期については乳がん発見の約4割が検診、他の治療中に偶然発見されたものが2割程度で、0.1期の半分以上の方は検診OR他の病気で受診中だったことがわかります。つまり、自分で見つけるのはなかなか難しい時期に検診や治療で発見された人が半分いる、ということがわかります。

乳がん検診経由の患者さんは、2期になると20%、3期には10%前後とだんだんと減っていきます。ここから読み取れることとして、自己触診や見た目の変化で発見できる大きさになり、自分で発見した人の割合が増加してきているようです。

https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/breast_cancer/index7 図2 ステージ別発見経緯
(症例2、3)より転載

がん治療で生活の不自由は少ない方がいい、だから検診と自己触診を続けよう。見つけられる最短のタイミングを捉えよう。

半分しか見つからないのか!とがっかりされた方もいらっしゃるかもしれませんが、2年に一回の検診を受けていただくと、更に精度があがります。また、自己触診が有効なことが改めてよくわかります。早期発見と早期治療で、治療の負担が少なくなります。

【乳がんを発見する有効な方法】

・2年に1回のがん検診

・毎月1回の自己触診

がん検診に関するデータ

日本医師会のページでは、がん検診と発見データについてわかりやすくまとめられています。乳がんは、検診受信者1万人中30人の人が乳がんと診断されるそうです。また、検診受診率についても発表されています。

がん検診を受けよう、そして、発見できる機会をふやそう。

特に乳がんに関しては、自分で触ったり見て確認することができます。自己触診はやっぱり大事です。ぜひこの機会に習慣化してくださいね。

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