がん治療中やその後の運動メニューで人気のヨガについて、乳がん患者さんを対象にヨガの効能について調べた論文をご紹介します。これを読んだら、まずはヨガでもやってみるか、くらいの気持ちで軽く始めてみてはいかがでしょうか。

ヨガについて

ヨガはゆっくりとした流れの中で行われる呼吸とストレッチを組み合わせ、心身をリラックスさせる効果が期待できる運動メニューです。

一般的にはスポーツとしては分類されないことが多いですが、健康やウェルビーイング(よりよい生活)を促進するための活動として広く認識されています。

ヨガの主な要素には以下のものが含まれます:

  1. ポーズ(アーサナ): ヨガでは、特定の体位やポーズを取りながら、筋力、柔軟性、バランスを向上させます。これらのポーズは、身体の各部位を強化し、ストレスや筋肉の緊張を解消するのに役立ちます。
  2. 呼吸法(プラーナヤーマ): ヨガでは呼吸法を重要視し、深い呼吸を意識的に行います。正しい呼吸はリラクゼーションやストレス軽減に寄与し、エネルギーを増加させる役割を果たします。
  3. 瞑想とマインドフルネス: ヨガは心と精神の健康を向上させる手段として、瞑想やマインドフルネス練習も取り入れます。これにより、ストレスの軽減、集中力の向上、感情の調整が可能になります。
  4. 哲学的な要素: ヨガにはヒンズー哲学や精神的な側面が含まれることがあり、自己認識や内面の探求を奨励します。

ハマると深いですが、気軽に始められるのがヨガの魅力のようです。

乳がん患者さんたちを対象にした調査でわかった、ヨガの効果

乳がんでは特に腕や脇に動かしにくさが残る場合があります。乳がん患者にヨガがどのように助けを提供できるかに焦点を当てます。ヨガが生活の質、気持ちの落ち込み、がんに関連する症状の改善にどのように寄与できるかを調べ他研究があります。この論文はコクランレビューにて無料で誰でも閲覧できます。詳しくは参考URLをご確認ください。

調査では、総計2166人の患者を対象にした24の試験を特定しました。この結果は2016年1月までの情報に基づいています。そのうち、11つの試験では、患者が手術、化学療法、放射線治療をすでに受けた後でした。3つの試験では、化学療法中の患者を対象にし、5つの試験では放射線治療中の患者を対象にしました。残りの5つの試験では、治療を受けていない未治療の患者を対象にしました。これらの試験では、生活の質、気分の落ち込み、疲労感、および/または睡眠障害を評価するためにさまざまな質問紙調査が行われました。

その結果、このようなことがわかりました。

  1. 生活の質の改善: ヨガは乳がん患者の生活の質を改善しました。患者は身体的な苦痛を軽減し、健康感を高めました。
  2. 気分の向上: ヨガは気分の落ち込み、不安感を軽減し、精神的な健康を向上させました。ヨガの実践は、心の安定感をもたらす可能性があります。
  3. 疲労感の軽減: ヨガは疲労感を軽減し、エネルギーを向上させました。これにより、患者は日常生活における活動をより楽に行えるようになりました。
  4. 睡眠障害の改善: ヨガの実践は、乳がん患者の睡眠障害を改善する助けになりました。良い睡眠は回復に重要です。

結果として、乳がん患者にとって、ヨガは生活の質、精神衛生、癌に関連する症状の軽減に役立つことがわかりました。

ヨガは安全で、重大なリスクはほとんどないとされています。これらの結果から、乳がんの治療に追加してヨガを支援療法として導入することができると言えます。ただし、個々の状況に応じて医師や専門家の指導を受けることをおすすめします。ヨガは乳がん患者が心身の健康を改善し、治療後の生活をより充実させる一つの方法として選ばれている理由のようです。

ヨガはYoutubeなどの動画でも楽しめます。

最近では、Youtubeなど動画配信サービスでもヨガのレッスン動画を見ることができます。調べてみたところ、リラックスするためのヨガ、ストレッチのためのヨガをはじめ、乳がん患者さん向けのヨガ動画もありました。

まずはここからやってみるのも良いかもしれません。くれぐれも、患側のストレッチをじっくりと行ってからスタートしてくださいね。また運動制限のある方は医師や理学療法士など、指導をうけている専門家にご相談ください。

参考URL

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