健康に良い食事に関する国内外の研究では、病気の予防に効果的な食事が明らかになっています。今回は、国立健康・栄養研究所がまとめた、世界の研究と日本人の食生活を比較した健康に良い食事についてのページをご紹介します。

信頼の高い分析方法で研究し、健康に良い食事を特定しています。

研究には様々な方法があります。ここでは、様々な研究結果を組み合わせた方法で、科学的根拠に基づく健康に良い食事を特定しています。

  • コホート研究(最初に多くの人の食事を調べ、その後の健康状態を長期間追う方法)は信頼性が高いです。
  • また、病気の人と健康な人の食事を比較する研究や、ある時点の食事と健康状態を調べる研究もありますが、これらは信頼性が少し低いとされています。
  • 複数の研究結果を組み合わせたメタ分析は、最も信頼性が高いと考えられています。これらの総合的な検討により、動物実験などの結果も加味して、科学的根拠に基づく健康に良い食事が特定されています。

国際的な調査からわかってきた、日本人の健康に良い食事

世界疾病負担(Global Burden of Disease)の調査の一環として、世界195か国で非感染性疾患(がん、循環器疾患、糖尿病など)への食事の影響を調べた調査があります。(Lancet.2019;393:1958-1972.)

この中で、日本における死亡に関連する食事の影響について表しました。上にあるほど「影響が大きい」ものです。

塩分を減らす、全粒穀物を増やす、果物・ナッツ・種子・野菜・を増やす、、、と表から読み取ることができます。

死亡に関連する食事要因論文中でリスク上昇がとりあげられている疾患日本人における死亡割合(%)
総死亡がん循環器2型糖尿病
ナトリウム(食塩)が多い血圧上昇、胃がん2.71.17.9 
全粒穀物が少ない虚血性心疾患、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、2型糖尿病2.22.25.64.4
果物が少ないがん(食道、気管支、肺)、虚血性心疾患、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、2型糖尿病1.41.23.65.8
ナッツや種子が少ない虚血性心疾患、2型糖尿病0.9 3.22.7
野菜が少ない虚血性心疾患、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血0.30.10.9 
食物繊維が少ない大腸がん、虚血性心疾患0.80.32.73.0
カルシウムが少ない大腸がん0.62.0  
多価不飽和脂肪酸が少ない虚血性心疾患0.3 0.9 
牛乳が少ない大腸がん0.82.4  
加工肉が多い大腸がん、虚血性心疾患、2型糖尿病0.50.61.09.3
豆類が少ない虚血性心疾患0.6 2.4 
砂糖入り飲料が多い虚血性心疾患、2型糖尿病0.2 0.83.3
トランス脂肪酸が多い虚血性心疾患0.5 1.9 
魚介類のオメガ3脂肪酸が少ない虚血性心疾患0.4 1.4 
赤肉が多い大腸がん、2型糖尿病0.80.52.44.3
食事要因合計※ 9.97.126.928.5
20歳以上、日本における推計値https://vizhub.healthdata.org/gbd-results/より作成 ※食事要因全体による総計のため、合計値とは一致していない。

具体的に、健康寿命を伸ばす食生活のポイントはこちら

「健康寿命を延ばすための食事」に関する提言は、国内の6つの国立高度専門医療研究センターががん、循環器疾患、糖尿病などを含む健康寿命延伸に向けて公表しています。この提言は日本人の研究に基づき、食事と疾患、死亡リスクの関連を分析し、以下のような食事の目標を定めています:

  • 年齢に応じたバランスの良い食事を心がける。
  • 食塩摂取は最小限に(男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満)。
  • 野菜、果物を適切に摂り、食物繊維を多く摂る。
  • 大豆製品、魚を多く摂る。
  • 赤肉(牛・豚・羊の肉)、加工肉の多量摂取を控える。
  • 甘味飲料(砂糖や人工甘味料が添加された飲料)は控えめに。
  • 年齢に応じて脂質や乳製品、たんぱく質摂取を工夫する。
  • 多様な食品を摂取する。

これらの提言は、日常生活が健康上の問題で制限されない期間を延ばすために、科学的根拠に基づいて作成されています。

参照元: 国立がん研究センター

プラス、食事は美味しく楽しく!

食事は栄養補給と同時に、楽しみでもあります。年齢に応じて、多すぎない、少なすぎない、偏りすぎないバランスのよい食事を心がけながら、楽しんで下さいね。

参考URL

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