がん患者さんによく聞かれる質問の一つに、食事の話があります。病院では、何を食べてもいいですよ、バランスよく色々食べてね、と言う感じで、がんに対しては特にこれがいいとかこれがダメはないと言われます。そう言われると気になりますよね。私も気になります。ということで、がん患者さんの食事について、食事ががん治療にどんな影響があったのかを調べた研究論文をひとつご紹介いたします。

7259人のがん患者さんが参加して、食事とがん治療について調べてみたよ

参考にした調査は「がんになった後の食事」というタイトルの論文で、2019年11月に発表されています。原本はコクランレビューから誰でも無料で見ることができます。

https://www.cochrane.org/ja/CD011287/GYNAECA_ganninatutahou-noshi-sheng-huo
調査の概要ページ

このレビューには、25件のランダム化比較試験(RCT)が含まれており、7,259人の参加者(男性977人、13.5%、女性6,282人、86.5%)が参加しています。参加者の平均年齢は52.6歳から71歳で、年齢範囲は23歳から85歳までです。試験は27の比較を報告し、乳がんサバイバー17試験、大腸がんサバイバー2試験、婦人科がんサバイバー1試験、そして複数のがんサイトを持つサバイバー5試験が含まれています。

つまり、7259人のがん患者さんが参加して、食事とがん治療について調べてみたよ、ということです。

結論、やっぱり影響といえる影響はなかったようです。

がんサバイバーの食事介入について、がん治療後の食事が生存率や二次がんのリスクにどのような影響を及ぼすかを調査しています。果物や野菜の摂取量の増加や食事の質の改善にはいくらかの効果があるものの、全体的な死亡率や二次がんの発生には大きな影響を与えないという結果が得られました。体重指数のわずかな減少は見られたものの、ウエスト・ヒップ比や生活の質には大きな影響は見られませんでした。

この調査では、がんサバイバーの食事変更の影響を分析しています。

  1. 全体的な生存率と二次がん: 食事介入が全体的な死亡率や二次がんの発生に大きな影響を与える証拠は少ない。
  2. 食事の変更と質: 果物や野菜の摂取量のわずかな増加や食事の質の改善に関してはいくらかの証拠があるが、エネルギーや繊維の摂取に関しては結果が混在している。
  3. 体組成: 食事介入は体重指数(BMI)のわずかな減少につながる可能性があるが、ウエスト・ヒップ比にはあまり影響がない。
  4. 生活の質: 様々な評価ツールを用いた結果が混在しているが、研究で有害な効果は報告されていない。

このレビューは、食事介入が食事の質やBMIにいくらかの良い効果をもたらす可能性があるが、全体的な生存率、二次がんの発生、その他の成果に与える影響は不明確であることを示唆しています。

つまり、がん有無に関係なく、健康的な食生活を目指そう!

ええー、そんな事言われても困るんだけど、の気持ちはよくわかります。そうですよね。毎日人参10本食べるとか、明確な数値があったほうが本当はラクですよね。でも、残念ながら、違うようです。あなたの身体の調子が整うように、健康的な食事をするのが良さそうです。

参考URL

厚生労働省eJIM | 「統合医療」情報をエビデンスに基づいて紹介[一般]

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