健康的な生活習慣について、科学的に調べて提案しているガイドラインがありますので、それをご紹介します。

健康な生活習慣の確認として、がん患者さんにもおすすめです

こちら、予防なんて関係ないと思われるがん患者さんにもおすすめしたいです!

このガイドラインは、国立がん研究センターのがん対策研究所が「総合的な健康にも配慮しながら、がんのリスクを低く抑えるためには、どのようなアドバイスが、効果的なのか」を研究したものです。基本として、総合的な健康の考え方は共通していますので、ぜひ参考にしてみて下さい。

日本人のためのがん予防法(5+1)とは?

日本人のがん予防のための科学的根拠に基づくガイドライン「日本人のためのがん予防法(5+1)」は5項目のセルフケアとして、禁煙、節酒、食生活の見直し、身体活動の促進、適正体重の維持と、プラスイチとして感染症の予防という6つの要素が含まれています。

★がんの原因に関する一般の意識は、科学的根拠よりも報道に影響されやすい。

多くのがん原因は環境要因ですが、生活習慣が具体的にどの程度がんリスクを高めるかについては、まだ十分な研究がなされていません。WHOなどは国際的な専門家によるがんリスクの評価を行っていますが、これらの結果は必ずしも日本人に適用できるわけではないため、日本固有の研究が必要です。問題解決のためには、不足しているエビデンスを補い、総合的な評価に基づいた効果的な対策を開発し普及させる必要があります。

この研究の結果について、5+1を以下にまとめました。

1、禁煙

自分の禁煙に加えて、他の人が吸うタバコの煙を吸う受動喫煙もリスクの一つ。禁煙は大変なので、禁煙外来を受診してみてはいかがでしょうか。

2、飲酒

お酒を飲む場合は純エタノール量換算で1日あたり23g程度までとし、飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。飲酒量の目安はこちら。

飲酒量の目安(1日あたり純エタノール量換算で23g程度)

お酒を飲む場合は、以下のいずれかの量までにとどめましょう。

  • 日本酒 … 1合
  • ビール大瓶(633ml) … 1本
  • 焼酎・泡盛 … 原液で1合の2/3
  • ウィスキー・ブランデー … ダブル1杯
  • ワイン … グラス2杯程度

3、食生活の見直し

ここでのポイントは3つ、減塩、野菜やくだもの、熱い食べ物を避ける。

  • 減塩
  • 野菜と果物を食べる
  • 熱い食べ物は冷ましてから

4、運動しよう

仕事や運動などで身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。
身体活動量が高い人では、がんだけでなく心疾患のリスクも低くなることから、普段の生活の中で無理のない範囲で可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、健康につながると考えられます。

推奨される身体活動量の目安

18歳から64歳:
歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行いましょう。
また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分行いましょう。
65歳以上の高齢者:
強度を問わず、身体活動を毎日40分程度行いましょう。

5、太り過ぎ、痩せすぎに注意〜適正体重の維持

BMI値の目安

男性はBMI値21~27、女性はBMI値21~25の範囲になるように体重をコントロールしましょう。BMI値=(体重kg)/(身長m)2

この数字は、死亡率が低い体重の範囲です。中高年の日本人を対象に行われた研究報告をまとめ、がんによる死亡のリスクと、総死亡(すべての原因による死亡)のリスクが、BMI値によって、どう変化しているかをBMI値23.0~24.9を基準(1.0)としてグラフに表すと、図のようになりました。

図2 BMI値と死亡リスクとの関連(日本の7つのコホート研究のプール解析)

BMI値と死亡リスクとの関連(日本の7つのコホート研究のプール解析)
国立がん研究センター.がん対策研究所 予防関連プロジェクト.肥満指数(BMI)と死亡リスク;2011年.より作成

+1 感染症もがんのリスクのひとつです

日本人のがんの原因として、女性で1番、男性でも2番目に多いのが「感染」です。表のようなウイルス・細菌感染と、がんの発生との関連があるとされています。

表1 ウイルスや細菌の感染が原因となるがんの種類

ウイルスや細菌の感染が原因となるがんの種類についてまとめたグラフ

いずれの場合も、感染したら必ずがんになるわけではありません。それぞれの感染の状況に応じた対応をとることで、がんを防ぐことにつながります。

生活習慣について不安なときの相談窓口

このような生活習慣を守ってもがんになったという人もいます。全く守らなくても、がんにならない人もいます。色々考えて不安になってしまったら、専門家に話してみませんか。個別の状況についてはネット検索よりも専門家に相談したほうがお役に立つ可能性が高いです。

参考URL

Follow me!