抗がん剤副作用の指先のしびれ 手足症候群の説明と対処方法まとめ

抗がん剤の種類によっては、手足症候群と言われる手のひらや足の裏、指の爪などが赤く腫れたり皮が向けたり、ピリピリとしびれたり、痛みを感じたりする症状がでることがあります。このコラムでは、手足症候群の基本情報と、予防方法、症状が出てきたらどうするのか、について説明しています。

1 手足症候群とは?

「手足症候群」とは、抗がん剤によって手や足の皮膚の細胞が影響をうけて発生する症状です。症候群、という名前がついている通り、いくつかの症状があります。
  • 皮膚トラブル 手のひらや足の裏、指の先の皮が向けたり、赤く腫れたり、潰瘍(赤く腫れた出来物のようなもの)ができる
  • 神経障害 痛みやしびれ。肌にラップを貼っているような感覚から、しびれや痛みで力のかけ具合がよくわからず歩きにくい、痛くてものが触れない、歩けない等、強い違和感がでる
  • 爪 皮膚トラブルの一種。爪の周りの皮膚に影響がでて、さかむけ、あかぎれのような症状から、潰瘍ができる場合も。

 

2 手足症候群予防のポイント

手足症候群をできるだけ避ける、悪化させないためにできることがあります。

  • 締め付けない
    • 締め付けの少ない靴下を履く。
    • サイズの合った柔らかい素材の靴を履く。
  • 刺激を減らす
    •  靴は、柔らかな中敷きを使って、足裏への刺激を減らす。
    • 長時間歩くことは避ける。
  • 皮膚を保護する
    • 入浴後の肌の柔らかいときにクリームで保湿する。
    • 手足の皮膚を清潔に。お風呂に入れない日もシャワーで流す、ホットタオルで優しく吹く。
  • 肌の硬いところや傷つきやすいところをケアしておく
    • 足のかかとが硬い、割れやすい、タコやウオノメなど皮膚の厚いところがある場合は、治療前にフットケアをしておく。
    • 巻き爪や爪の変形などで食い込んだり割れやすい場合は、事前に治療しておく。

4 症状が出てきたら 3つのグレードと対応方法

手足症候群の症状は、大きく3つのグレードに分けられています。どのグレードでも治療の対象で、かかりつけ医に対応を相談してください。自分で皮膚を削るなど、皮膚を傷つけてはいけません。
  • グレード1 保湿剤、軟膏を使う。厚くなった部分を処置する。
    •  痛みはない、もしくは殆どない。ちょっとだけ皮膚が厚くなったり、赤くなったりする。
  • グレード2 ステロイドの塗り薬を使う。傷を保護するシートを貼る。
    • 痛みあり 身の回りのことはできるけれど、痛みで行動制限。触ると痛い、ドアノブを握りにくい、キャップが開けにくい等。
    • 肌の変化 水ぶくれ・出血・むくみ・皮膚が厚くなったり、赤くなったりする。
  • グレード3 休薬。ステロイドの塗り薬を使う。傷を保護するシートを貼る。
    • 痛みあり 痛くて日常生活が制限される。痛くて歩けない、握れない、等。
    • 肌の変化 グレード2と同じ。

5 どんな抗がん剤を使うと、手足症候群になりやすい? 手足症候群の症状を緩和するには、温めるの?冷やすの?

抗がん剤の中でも、殺細胞性抗がん剤、分子標的薬で発症することがあります。この薬を使うと必ず出るものではなく、症状の出方にも個人差があります。具体的に症状が出やすいお薬の種類と、症状緩和のために手足を温めるのか冷やすのか、がん専門薬剤師の宮本さんに聞きました
抗がん剤のしびれについて質問です。痺れてる指は、冷やした方が良いのか、温めた方が良いか?です。 そのタイミングと何故ならばも教えてもらえる安心です。

抗がん剤を使うと出てくる副作用のひとつ「指先のしびれ」について、[sitecard subtitle=関連記事 url=薬剤師の宮本さん target=]に教えてもらいました。

1 症状がでるお薬は、どんなものがありますか?

薬剤師の宮本さん
ご質問ありがとうございます。 抗がん剤による痺れは辛いですよね。痺れは訴えの多い副作用です。 原因となる代表的な抗がん剤には、オキサリプラチンやパクリタキセル、ビンクリスチン、ボルテゾミブなどがあります。 これらの中で大腸がんや胃がん等の患者さんに使用されるオキサリプラチンという抗がん剤を点滴した直後には、冷やす事で痺れが感じたり、強くなったりします。
看護師さとう
お薬を始める前にしびれが出ることがある、と説明を受ける薬ですね。オキサリプラチンだけなにか違うの?

2 しびれ対策には、冷やすか温めるか。どちらが良いの?

薬剤師の宮本さん

大腸がんや胃がん等の患者さんに使用されるオキサリプラチンという抗がん剤を点滴した直後には、冷やす事で痺れが感じたり、強くなったりします。そのため、患者さんには点滴後には冷たい飲み物を飲んだり冷たいものに触れたりするのは気をつけてくださいと説明しています。

他の抗がん剤では、冷やした方が楽になったり、温めた方が楽になったり、どちらも変わらなかったりとさまざまなので、楽になる方法であればどちらでもいいですよ、と説明しています。何故人によって異なるかは分からないです。

看護師さとう
オキサリプラチンは冷やすとしびれを感じやすくなるのですね。他の抗がん剤では、人によって温めるか冷やすか、どちらが良いのかは個人次第ということ、なぜ人によって異なるのかが解らないのですね。わからないなら、温めてみたり、冷やしてみたり、やってみて自分の方法を探すのね。

3 しびれはどこまで我慢したらいい?

薬剤師の宮本さん
そして痺れの副作用で一番大事なことは、症状がひどくなりすぎる前に抗がん剤をお休みする事だと思っています。手の痺れが強くなると小さなものをつまむのが難しくなったり、字を書くのが震えてしまったりします。足だとつまづいたり、転んだりすることもあります。このような症状の兆しがあったら医師や薬剤師、看護師などに症状を伝えてください。
看護師さとう
痺れは本人にしかわからない副作用ですよね。だからこそ積極的に伝えて欲しいです。指や足が痛いのは、辛いです。毎日動くたびに痛い。それがひどくなって、転んだり字が書きにくいとか日常に支障が出てくるようなら抗がん剤の調整も必要ということですね。このくらいで話して良いのかな、と遠慮しがちですが、ここは伝えるべきこと!という事がわかりました。宮本さん、ありがとう!

 

参考URLと参考書籍

がん患者に対するアピアランスケアの手引き
https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0245/G0000895/0013

がん患者のアピアランスケア

その他、このサイトで参考にしている書籍はこちらです。

[sitecard subtitle=関連記事 url=Speakコラムで参考にしている参考情報まとめ URL,書籍など target=]

 


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