2024/01/27 内容の更新と追記を行いました。1

抗がん剤の種類によっては、手足症候群と言われる手のひらや足の裏、指の爪などが赤く腫れたり皮が向けたり、ピリピリとしびれたり、痛みを感じたりする症状がでることがあります。ここでは、手足症候群の基本情報と、予防方法、症状が出てきたらどうするのか、について説明しています。

1 手足症候群とは?

抗がん剤の副作用のひとつです。手足の皮膚や爪に出てくる症状のことを指します。特に力がかかるところに起きやすいです。

  • 皮膚トラブル 手のひらや足の裏に発生する。指の先の皮がむける、赤く腫れる、水ぶくれ、潰瘍(赤く腫れた出来物のようなもの)ができる
  • 痛み 痛みやしびれ。ピリピリ感から痛くて日常生活に影響がでることもあります。
  • 爪 皮膚トラブルの一種。爪の周りの皮膚に影響がでて、さかむけ、あかぎれのような症状から、潰瘍ができる場合も。
理由と抗がん剤の種類について、もう少し詳しく読む方はこちら
/がん細胞を殺したり、あるいは増殖をおさえたりするために抗がん剤による化学療法が行われます。しかし同時にこの薬が正常な細胞にも作用するためいろいろな副作用が生じます。抗がん薬の副作用の中で手や足の皮膚や爪に起こるものに手足症候群があります。

手足症候群は、抗がん剤による治療中に手や足の皮膚にみられる一連の症状に付けられた名称です。普通これらの症状は身体の左右両側に現れます。なぜ起こるかはさまざまな説が唱えられていますがよくわかっていません。また、薬の種類によって症状や現れる部位が異なることがあります。

「手足症候群」を起こす可能性がある代表的な薬として次のものが知られています
注射剤:ドキソルビシンリポソーム注射剤
    ドセタキセル
    フルオロウラシル
経口剤:カペシタビン
    テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
    テガフール・ウラシル
    フルオロウラシル
    レゴラフェニブ
    ソラフェニブ
    スニチニブ
    レンバチニブ
    ゲフィチニブ
    エルロチニブ
    アファチニブ
    オシメルチニブ
引用元:https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1q02_r01.pdf

2 手足症候群予防のポイント

手足症候群をできるだけ避ける、悪化させないためにできることがあります。

  • 締め付けない
    • 靴下は、柔らかい厚手の素材、しめつけないものを選びましょう。
    • サイズの合った柔らかい素材の靴を履く。
  • 刺激を減らす
    •  靴は、柔らかな中敷きを使って、足裏への刺激を減らす。
    • 足に刺激になることと、足に力が入ることを避ける。長時間立ち続けることや、歩き続けること。エアロビクスなど足に負担のあるダンスやレクリエーション。ジョギング。ヨガで手足でつっぱるポーズ。
    • 手に刺激になること、力が入ることを避ける。
      • ぞうきんを絞る、瓶をひねって開ける。水仕事はゴム手袋を使用して直接水や洗剤に触れないようにする。
      • 長時間やらないように気をつけることは、キーボードを打つ、スマートフォンなどの液晶画面を操作する、ペンなどで筆記
      • シャンプー時はシャンプーブラシを使用する
  • 皮膚を保護する
    • 入浴後の肌の柔らかいときにクリームで保湿する。
    • 爪周りには爪オイル。
    • 手足の皮膚を清潔に。お風呂に入れない日もシャワーで流す。ホットタオルで優しく拭く。
    • 熱いシャワーは避ける。
  • 肌の硬いところや傷つきやすいところを「治療前に」ケアしておく
    • 足のかかとが硬い、割れやすい、タコやウオノメなど皮膚の厚いところがある場合は、治療前にフットケアをしておく。
    • 巻き爪や爪の変形などで食い込んだり割れやすい場合は、事前に治療しておく。
  • 直射日光を避ける
    • 日傘、長袖、手袋などを使用する
    • UVカットのクリームなどを使用する

4 症状が出てきたら 3つのグレードと対応方法

手足症候群の症状は、大きく3つのグレードに分けられています。どのグレードでも治療の対象で、かかりつけ医に対応を相談してください。自分で皮膚を削るなど、皮膚を傷つけることはしないでください。

  • グレード1 保湿剤、軟膏を使う。厚くなった部分を処置する。
    •  手足がピリピリするが、痛みではない。ちょっとだけ皮膚が厚くなったり、赤くなったりする。
  • グレード2 ステロイドの塗り薬を使う。傷を保護するシートを貼る。
    • 痛みで日常生活に制限がある、やりにくくなる。
    • 痛みに加えて、水ぶくれ・出血・むくみ・皮膚が厚くなったり、赤くなったりする。
  • グレード3 休薬。ステロイドの塗り薬を使う。傷を保護するシートを貼る。
    • 痛みあり 痛くて日常生活が制限される。痛くて歩けない、握れない、等。
    • 強い痛みに加えて、水ぶくれ・出血・むくみ・皮膚が厚くなったり、赤くなったりする

参考URL

厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアル
がん>手足症候群について
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/02/dl/s0225-5g.pdf

  1. 2024/01/27 厚生労働省の重篤副作用疾患別対応マニュアル>がん>手足症候群についてのURLを追加しました。
    ↩︎

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