抗がん剤の種類によって脱毛する量は違う 薬の種類と脱毛の程度を解説します
抗がん剤の種類によっては、髪の毛が抜けるものがあります。一言で脱毛といっても、その割合はお薬によって違います。そして個人差もあります。お薬の種類と、その種類のお薬はどの程度髪の毛が抜けるのかをまとめてみましたので参考にしてください。この記事を読むのにかかる時間は約5分です。
1 抗がん剤と脱毛 すべての薬で抜けるわけではありません
抗がん剤と聞くと、すべてのお薬で脱毛するイメージがありますが、違います。全く抜けないお薬もあるし、少しだけ抜けるお薬も、ほとんどの髪の毛が抜けるお薬もあります。また、その薬の回数や期間によっても抜け方は変わってきます。副作用で脱毛するお薬は種類が限られていて、そのお薬を使う時には「髪の毛が抜けます」と事前に説明がありますので安心してください。
2 薬の種類と脱毛の程度について
ここでは、静岡県立静岡がんセンターの資料を引用して解説していきます。脱毛が副作用にある薬を「ほとんど抜ける(高度)」「薄くなり頭皮が見える(中等度)」「ヘアスタイルに影響なし(低度)」の3種類に分類してあります。実際にリストを見てみましょう。
高度(ほぼ全て抜ける)
一般名※ | 商品名※ |
---|---|
アムルビシン | カルセド |
イホスファミド | イホマイド |
イリノテカン | トポテシン、カンプト、イリノテカン、オニバイド |
エトポシド | べプシド、ラステット、エトポシド |
エピルビシン | ファルモルビシン、エピルビシン |
エリブリン | ハラヴェン |
シクロホスファミド | エンドキサン |
ドキソルビシン | アドリアシン、ドキシル、ドキソルビシン |
ドセタキセル | タキソテール、ドセタキセル、ワンタキソテール |
パクリタキセル | タキソール、パクリタキセル |
パクリタキセル (アルブミン懸濁型) | アブラキサン |
中等度(髪の毛の量が減り、頭皮が見える)
一般名※ | 商品名※ |
---|---|
アクチノマイシンD | コスメゲン |
カバジタキセル | ジェブタナ |
カルボプラチン | パラプラチン、カルボプラチン |
スニチニブ | スーテント |
チオテバ | リサイオ |
トラスツズマブ デルクステカン | エンハーツ |
ビノレルビン | ナベルビン、ロゼウス |
ビンクリスチン | オンコビン |
ブレオマイシン | ブレオ |
ベバシズマブ | アバスチン |
メトトレキサート | メソトレキセート、メトトレキサート |
レゴラフェニブ | スチバーガ |
軽度(ヘアースタイルにはあまり影響がない)
一般名※ | 商品名※ |
---|---|
アパルタミド | アーリーダ |
アファチニブ | ジオトリフ |
アベマシクリブ | ベージニオ |
アベルマブ | バベンチオ |
イピリムマブ | ヤーボイ |
イマチニブ | グリベック、イマチニブ |
エキセメスタン | エキセメスタン、アロマシン |
エンコラフェニブ | ビラフトビ |
エンザルタミド | イクスタンジ |
オシメルチニブ | タグリッソ |
オビヌツズマブ | ガザイバ |
カルフィルゾミブ | カイプロリス |
ゲムシタビン | ジェムザール、ゲムシタビン |
シスプラチン | シスプラチン、ランダ |
セツキシマブ | アービタックス |
ダコミチニブ | ビジンプロ |
ダブラフェニブ | タフィンラー |
テガフール・ウラシル | ユーエフティ |
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム | ティーエスワン* (*他に多数の後発品があります) |
テポチニブ | テプミトコ |
トラスツズマブ | ハーセプチン、トラスツズマブ |
トラスツズマブ エムタンシン | カドサイラ |
トラベクテジン | ヨンデリス |
トラメチニブ | メキニスト |
ニボルマブ | オプジーボ |
パニツムマブ | ベクティビックス |
パルボシクリブ | イブランス |
ビニメチニブ | メクトビ |
フルオロウラシル | 5-FU、フルオロウラシル(注) |
ブレンツキシマブ ベドチン | アドセトリス |
ペムブロリズマブ | キイトルーダ |
ベムラフェニブ | ゼルボラフ |
ボルテゾミブ | ベルケイド |
ミトタン | オペプリム |
メルファラン | アルケラン |
ラパチニブ | タイケルブ |
ロルラチニブ | ローブレナ |
引用元URL https://www.scchr.jp/book/manabi2/manabi-body3/naze_datumo.html(2021/05/11確認)
3 脱毛の目立ち方は、元々の髪の量+脱毛の程度×回数・期間
一番上の高度(ほとんど抜ける)の髪の毛は、1回の投与でほとんどの髪の毛が抜けますが、それでも個人差はあります。元々髪の毛の量が多い人は、抜けても目立ちにくく、頭皮が透けてみえるようになるまでが長めの人もいます(それでも、2回3回と繰り返していくとほとんど抜けます)。中等度、低度のお薬も、回数を重ねていくと生えてくる髪の毛が頼りなく弱くなってくることがあります。
脱毛の程度が高度な抗がん剤を使う場合は、カバーするための帽子や全頭ウィッグが必要になります。中等度の場合は、頭皮が透けますのでトップピースや帽子が便利です。脱毛の程度が低度でも、回数を重ねると毛質がかわったり、地肌が透けてみえるようになることがあります。そして、元々の髪の量によっても目立ち方は違います。とても多い人は、脱毛が目立つようになるまでの時間が長く、毛量が少ない・細くて柔らかい場合は脱毛は早くから目立ちやすいです。
薬の種類によって脱毛の程度は違いますし、元々の個人差もあり、この記事を書いている2021年現在、根拠を持って抜け方の個人差を正確に予測することは困難です。
4 大事なことは、相談先を見つけておくことです
個人差がある脱毛や生えてくる髪の毛について相談して解決できる方法を見つけておくことです。方法を全部勉強するのは大変ですから、それを相談できる場所を事前にみつけてください。副作用に脱毛の可能性がある場合、治療を受けている病院で説明がありますし、院内の相談窓口もあります。窓口には地域の情報も集まっていますので、帽子やウィッグについて、どこで相談したらいいですか?と質問してみてください。パンフレットやまとめた情報を提供してくれます。
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参考情報
このページは、以下サイトを参考に作成しました。
https://www.scchr.jp/book/manabi2/manabi-body3/naze_datumo.html
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