がん患者さんへ、どのように声をかけたらいいのか、話し方に悩んでしまう方へ。一般的に患者さんが傷ついたり悩んでしまうことをまとめました。

ただし、がんになっても、その人は変わりません。がんになる前となった後で、その人自身が大きく変わってしまうことはありませんので、あなたとの関係性の中で、どのように話したら良いのかを考えるヒントにして下さい。

1. 無断で情報共有

  • 患者の状況や個人情報を、患者の明示的な同意なく他人と共有することは避けましょう。患者さんはあなたを信頼して、病気という個人的なことを公開しています。他人に話す場合は、患者さん本人の許可を得てからにしましょう。

2. 過度の楽観主義「大丈夫だよ!!!」

  • 患者さんと話す時に、現実を無視した楽観的な言葉や、「すぐに良くなる」といった保証を提供することです。これは、患者の現実的な感情や経験を無視することになりますし、それを受けて元気に振る舞うのは、患者さんには負担になることがあります。

3. 嫌な話題の強制「ダメだったらどうするの?」

  • 患者が話したくない話題や、良くない未来について、こちらから話題を提供することはやめましょう。患者さん自身が「実はあまりよくない」というようなネガティブな発言をした場合は、そうなんだねとただ受け止めて傾聴し、否定することのないようにしましょう。

4. アドバイスの押し付け「がんに効く方法を持ってきた!」

  • 専門家ではないにもかかわらず、未検証の治療法やパーソナルな選択に関してアドバイスを押し付けることは避けましょう。あなたが患者さんに対して真剣に何か少しでも力になりたいと考えていることはよくわかりますが、そのアドバイスが負担になることがあります。アドバイスの前に、こちらの記事を読んでみて下さい。

  1. 情報の収集と共有:
    • 患者さんが知っていることを、同じくらいに理解してください。そうすることで、患者さんは病気や副作用についての細かい説明せずに自分のこと話し始めることができます。話すこともエネルギーが要りますので、話しやすいように聞き手の家族も可能な範囲で理解してみてください。
    • もし家族から提案する場合は、正確な情報を収集してください。困っている時に「効果がある」「寿命が伸びる」「治療がいらなくなった」など、一気に今を改善するような広告は、つい飛びつきたくなります。しかし、いまはがんの治療を病院の医療チームと一緒に組み立てて実行している段階です。補完代替療法や民間療法、いい食事など、色んな情報があると思いますが、本人に話す前に専門家に相談してみて下さい。
https://speak2you.net/archives/2309
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5. 患者の感情を否定する「そんな弱気でどうするんだ!」

  • 「強くあるべきだ」と言うなど、患者の不安や恐れ、悲しみなどの感情を否定または無視するような言動は避けましょう。あなたの焦りや、元気であってほしい気持ちは、きっと患者さんにも伝わっています。本当は患者さん本人もそうありたいと考えているのではないでしょうか。
  • あなたへの信頼感から患者さんは弱気な感情を口にしているのかもしれません。信頼ゆえのことかもしれないと受け止めて、そうか、と受け止めてあげてください。患者さんは元気なときにはわからないような辛さを味わっています。

6. 過度の訪問や連絡

  • 患者の体調や希望を考慮せずに、過度に訪問したり連絡を取り続けること。これは、患者にとって負担となることがあります。
  • LINEやメールなどのメッセージは、患者さんにとってうれしいものですが、返信をする元気がない場合があります。最後に「返信はいらないから、ゆっくり休んで。また会おうね。」と患者さんが返信を書かなくても負担にならないように添えてみて下さい。

7. 患者の自主性を奪う行動

  • できる限り患者さん本人の意思決定を尊重しましょう。自分は家族だからよくわかっているから、と本人への確認なく決めたり進めることは避けましょう。
  • その意思決定により心身に危険が及ぶ場合や、意思決定ができない場合は、医療に関することは医療チームと相談しながら、家族などキーパーソンが中心となって進めることになります。

8. 感情的な負担を患者にかける「私のほうが大変なの!」

  • 自分自身の恐れや不安を患者に打ち明けることで、患者に余計な感情的負担をかけることは避けましょう。患者に自分の大変なことを話したり、自分のほうが大変な状況にあると伝えて負担をかけることのないように、患者自身が自分のことに専念できるように話題は選びましょう。

9. 病状に関する無知なコメント「友だちにこんな人がいてね・・・」

  • がんや治療に関する誤解に基づくコメントや、不適切なジョークを言うことは避けましょう。
  • 自分の周りの人のがんになったエピソードを話すときは、よく考えて下さい。患者さんとあなたの周りでがんになった人は、がん以外に共通項がありますか。励まそうとする気持ちが先立って、あの人は元気になったから大丈夫!と全く関係のないエピソードををシェアして、無理に励ますことは避けましょう。

10. 過度な期待の設定「絶対にすぐに良くなるよ!」

  • 完全な回復や特定の治療結果に対する過度な期待を患者さんに話しかけて、プレッシャーをかけることは避けましょう。未来について一番不安なのは患者さん本人です。わからない未来に向けて頑張っていますので、今の頑張りを認めて、褒めて、肯定して見守って下さい。

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